こんにちはおさるです。
私は大阪市内で働く不動産屋です。
先日、不動産実務検定という試験に興味を持ち受験してきました。
受験した経緯から試験の感想までまとめたので受験を検討されている方の参考になれば幸いです。
私がおすすめする勉強方法については別記事で詳しく解説しています。
ご参考になれば幸いです。
感想の前に受験した私の状態と前提
まず不動産実務検定は、不動産営業マン向けではなくこれから不動産投資を始める大家向けの資格です。
私は不動産会社で3年ほど働いていて、宅建などの不動産系の資格をいくつか取得済み・不動産投資に関する書籍を20冊程度読んでいた状態なので、前提知識が多少違うことは予めご承知ください。
一応、これまでに資格試験は色々と受けてきたので他の資格試験に比べてどうなのかという視点も併せて解説できると思います。
下記が私の取得した試験です。
- 宅地建物取引士
- 賃貸不動産経営管理士
- 管理業務主任者
- FP2級
- 簿記3級
- 少額短期保険募集人
今回は初学者が不動産実務検定を受験するべきかという観点で、出来るだけ客観的な形でお話しできればと思います。
結論:不動産実務検定は基礎程度の知識にはなる
私が不動産実務検定を受けた正直な感想としては、勉強にはなるが積極的に取る必要はないかなと感じました。
まずテキスト代が高すぎることと教材が少なすぎることは大きなデメリットです。
不動産投資は非常に多くの知識が必要になるので継続的な学びが必要です。
不動産実務検定で学べるのは最初の基礎知識だけと感じました。
個人的にはこの試験に数万円の高いテキスト代を払うくらいなら、不動産投資に関する書籍を何十冊も買う方が、いろんな投資手法を学習できますし費用的にもコスパがいいと思います。
ただしデメリットばかりでもなく、受験することで「初心者は何から学習すべきか」という学習の方向性は明確になると思います。
個人的には資格商法的なビジネス的な側面が強い試験だなと思っていて、積極的に取りに行く試験ではないと思っています。
ただし学べることもあり勉強する価値はあると思うので、自分の中でうまく線引きして活用すれば良いと思います。
私が不動産実務検定を受けるまでの経緯
私は不動産会社で働いていて普段の業務は賃貸仲介・管理、売買仲介です。
不動産が好きなので、普段からいろんな書籍を読んだり勉強しています。
ある時「読書もいいけど何か定量的な目標も欲しいなぁ」と思ったため、不動産投資に関する試験があるのか調べてみました。
そこで知ったのが不動産実務検定です。
不動産実務検定には2級・1級・マスターの3段階あるとのこと。
マスターはいくつか要件が必要みたいなので、とりあえず受験できるのは2級か1級でした。
受験するか検討していた私は下記の4つを調べました。
- 試験日はいつなのか
- 勉強方法はどうするのか
- 勉強時間がどのくらいいるのか
- 勉強にどのくらい費用がかかるのか
絶対に欲しいと思える資格でもないため、条件が合えば受験しようと考えていました。
試験日はいつなのか
試験日が先すぎると嫌だったのでいつ受験できるかは大事でした。
勉強期間なども含めてちょうど良いスケジュール間で受験できれば一番望ましいと考えていました。
幸い、不動産実務検定はいつでも受験可能だったのでスケジュールに関しては問題なかったです。
ちなみに、試験方法はCBT試験です。
CBT試験は指定のテストセンターで予約をしてPC受験する方式です。
受験日は自分の都合の良い日で決めることが可能です。
私の場合、自宅の近くにテストセンターがあるので場所や日時含めて問題ありませんでした。
勉強時間がどのくらいいるのか
勉強時間がどのくらい必要なのか、試験難易度の判断にもなるので気になっていました。
あまりにも長期間の勉強が必要となる場合は、そこまで欲しい資格でもないのでモチベの維持的に難しいかなと思ってました。
調べてみると、2級なら36時間で1級なら60時間という情報が見つかりました。
初学者がそのくらいの時間で学習できるならすぐに受験しても大丈夫では?と感じました。
私は試験の範囲を少し確認する程度で受験するか考えました。
勉強方法はどうするのか
調べていると、公式の勉強法はホームスタディだけだと知りました。
試験内容を解説した参考書すらなく、ホームスタディ以外の勉強法はメルマガに登録するか、2016年出版の本を紹介しているだけでした。
メルマガに誘導するあたりや、教材が高額すぎること、参考書がないという点で、「完全な資格ビジネスだなぁ」と感じて受験するのを一旦考えました。
勉強にどのくらい費用がかかるのか
勉強方法がホームスタディしかないので一応調べるだけ調べましたが料金が高すぎました。
2級は50,000円〜、1級は100,000円〜となっています。
2級なら36時間程度で学べるくらい少ない内容なのに50,000円もするんだと正直思いました。
私がこれまでに取得した資格はどれも数千円〜1万円低度で収まってますし、何より36時間の内容なら5万円の価値は無いかなと判断しました。
受験までにした勉強と流れ
不動産実務検定について調べて受験する必要もないかなと思っていましたが、ネットで過去問らしきものを見つけました。
試験の全体像が分かりそうだったので、プリントアウトして問題を解いてみることにしました。
不動産実務検定の過去問?
私が見つけた情報はこちらです。
もう一度探し直しましたが2級の問題しか見つからず、2級の解答や1級の問題と解答が見当たらなかったです。
たぶん見逃してるだけで探せばネット上のどこかにあると思います。
もし本当に必要な方がいましたらおそらく家にあるのでコメントなど頂ければと思います。
問題の内容や難易度について
ネット上で見つけた問題をプリントアウトして、2級の問題と1級の問題をそれぞれ解いてみました。
不動産実務検定は合格に70%以上の正答率が必要です。
2級の問題を解いてみたところ約80%正解、1級の問題を解いてみたところ75%程度正解でした。
私の場合、過去に宅建や不動産系の資格を取得したり不動産投資の書籍を読んでいたので、知っている知識も多かったです。
完全に初学者の人にとってはいきなり70%超は難しいと思いますが、本屋で売ってる不動産投資の本を読むだけでも合格できます。
2級なら5冊〜10冊程度読めば合格できると思いますし、1級でも10〜20冊程度読めば同程度の知識は手に入れられます。
申込みから受験まで
問題を一度解いてみた感じすぐに受験できそうだったので、早速1週間後に1級を受験することにしました。
対策という対策も特にすることなく、当日いきなり受験会場に向かいました。
テストセンターの受付を済ましPCで受験開始です。
実際にテストをしてみると、プリントアウトした問題と同じ内容が数問ありました。
大半は初見の問題でしたが難易度的にはさほど変わりません。
試験終了後の案内
試験が終了するとすぐにPC上に合否が出ます。
「合格」と表示され印刷してテストセンターを後にしました。
後日、下記のようなメールが届き日本不動産コミュニティーの入会案内が届きます。


合格すれば入会金や年会費などを払いコミュニティーに入ることが出来るみたいです。
私はもちろん登録はしませんでしたが。。
不動産実務検定のメリット
不動産実務検定のメリットは下記のとおりです。
- 不動産投資を中心した勉強ができる
- 資格取得という目標設定がしやすい
それぞれ解説していきます。
不動産投資を中心した勉強ができる
不動産投資は必要な知識が多いです。
「何から勉強すればいいか分からない」という悩みがある方にとっては、最初の学習する目安として受験は良いかもしれません。
あくまで不動産投資における基礎の一部分ですが学習することが可能です。
気をつけておきたいのは資格を取得したからといって不動産投資を知っているというレベルには到底及びません。
学べるのは基本の一部です。
資格取得という目標設定がしやすい
不動産投資は知識0で始めるのは危険です。
まず不動産投資に関する知識をつけることが最重要となりますが、勉強というとモチベーションの維持が難しい方もおられると思います。
試験の合格を目標にすれば学ぶべき方向が明確になりモチベーションの維持がしやすくなります。
不動産投資という大きすぎるジャンルの中をやみくもに勉強するよりかは、不動産実務検定合格という明確な目標がある方が学習内容はわかりやすいです。
試験を受けることは、学習のモチベーション維持には向いているかもしれません。
不動産実務検定のデメリット
私が感じた不動産実務検定のデメリットはこちらです。
- 資格自体のメリットがない
- テキスト代が異常に高い
- 勉強方法が全く公開されていない
- 不動産投資をするなら継続的な勉強はずっと必要
- 問題がイマイチ
それぞれ解説していきます。
資格自体のメリットがない
不動産実務検定には資格自体のメリットがありません。
宅建のように独占業務があるわけでもないし資格の知名度もありません。
むしろ不動産実務検定を取った程度では、ただ基礎の一部だけ知っている状態です。
勉強すること自体には大きな意味があるので試験を受けることは賛成ですが、資格自体が活躍してくれる場面はないでしょう。
テキスト代が異常に高い
不動産実務検定のテキスト代は異常に高いです。
試験の内容や収録時間から察するに金額に伴った内容は無いです。
2級で5万円・1級で10万円のテキスト代を払うのであれば別のところにお金を使う方がコスパが良いと思います。
例えば、不動産投資に関する書籍を1冊1500円×20冊購入すれば合計3万円です。
たくさんの書籍を読む方が多角的に情報を集めれますし、いろんな投資手法を知ることが出来ます。
内容とテキスト代が伴っていないのが非常に残念な部分です。
勉強方法が全く公開されていない
国家資格や有名な民間資格などは基本的にテキストが販売されています。
宅建や行政書士などの国家資格は書店に行けば多くの参考書があります。
マイナーな民間の資格でも参考書くらいはネットで販売されていたりします。
不動産実務検定はテキストの販売はホームスタディしかなく、しかも高額です。
それ以外の勉強法は、メルマガに登録して1日1問を受け取るという謎仕様か、2016年に出版されている書籍を紹介しているくらいです。
今から約10年も前の投資手法では参考になるか疑問です。
不動産投資をするなら継続的な勉強はずっと必要
不動産実務検定に合格したからと言って不動産投資に必要な知識レベルになるわけではありません。
分かりやすく表現すれば不動産実務検定1級は、ひらがなを全て覚えて小学校で漢字を習い始めた程度です。
不動産投資をするには継続的な学習は必ず必要になります。
資格取得をゴールにするのではなく、もっと先まで長い学習をする必要があります。
問題がイマイチ
試験の問題や解答に疑問が湧くことが多かったです。
初心者の人が受験する分には問題ないと思うのですが、既に不動産投資に関する知識がある方や宅建などの資格を取得されている方からすると同じ考えになってくれると思います。
「単純に考えると○だけど、正確にはこういうパターンがあるから×だよね」と解答したら、解答は○になってる。みたいなことが結構ありました。
国家資格であれば出題内容に厳格なチェックがされるので曖昧な出題は極めて少ないのですが、不動産実務検定は出題の内容が曖昧な部分もあると感じました。
まとめ
SNSが普及する一昔前は、不動産投資に関する情報はクローズドで、高いセミナーなどに参加しないと情報が手に入らなかった時代と聞きます。
ただし今はそうではありません。
ネットで調べればいくらでも情報は出てきますし、不動産投資なら書籍も数多くあります。
受験した感想含めて、高額なテキスト代を払わなくても書籍やYoutubeなどの情報で勉強している私でも普通に合格できました。
不動産実務検定は一種の不動産投資ビジネスだと思います。
どのように捉えるか人それぞれだと思いますが、学べることがあるのは事実なので自分の中で割り切って学習すれば良いと思います。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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